人気の物件には同時に多数の購入申込(買付)が入ることがあります。でも不動産の買付っていまいちルールがよく分からないですよね。
今回は不動産購入を検討されている方向けに買付の優先順位についてお話したいと思います。買付の仕組みを知ることで予期せぬ買いそびれが防げるはずです。
この記事で分かること
この記事の信頼性
この記事はこんな人が書いています。
- 業界大手の財閥系不動産売買仲介会社で17年間に亘って仲介業務を経験
- 現在まで300組以上の売買仲介案件を成約
- 1級ファイナンシャルプランナー
- CFP認定者
- 宅地建物取引士
そもそも不動産の買付に明確なルールは存在しない
まず初めに、法律的なルールや業界内で統一された制限は存在せず、取引慣習の暗黙のルールに基づいて取引されているということを知っておく必要があります。買付の優先順位について、不動産会社や物件の販売状況などによって異なることもありますが、以降に不動産取引の実務から一般的に通用しているルールをご説明します。
同じ条件の買付であれば先着順
例えば2件の買付があった場合を想定しましょう。購入希望金額も同じ、いずれも融資の銀行の事前審査も通過済み、など双方が売主にとって同程度の購入条件であるなら、それらの買付の優先順位は、より早く申込をした買主のものが優先されます。極端な例ですが、片一方が12時に買付申込をし、もう片方が同日の10時に買付申込をしていたのならば、10時の買付が優先されます。
良い物件であればあるほど、不動産屋が購入申込を買主に急かす理由はこのためです。買主が本当に気に入って買いたいと思った物件を買いそびれないように、物件を押さえるために早めの購入申込を提案するのです。不動産屋の都合でいたずらに急かしているわけではありません。
1番手でも2番手にまくられることがある
では先の例と異なり、買付の条件が劣後する場合はどうなるか。例えば、あなたが1番手で買付を入れたとしましょう。その後すぐに2番手からも同じ物件に買付が入った場合です。
もしあなた(1番手)より、2番手の購入条件が優位である場合は、あなた(1番手)に対して、2番手の購入条件以上の条件で購入できるかどうかの判断を求められます。この時にあなたが2番手の購入条件に追いつけない場合、2番手が買主として売買契約の優先交渉権を手に入れます。
このように、1番手で買付を入れたとしても、買付を入れてから売買契約に至るまでの間に、他者からより有利な条件の買付が入った場合は、買いそびれる場合があります。
条件が劣後しても物件を押さえたい場合どうするか
指値などの価格交渉をしていて、売主と条件合意できた場合、売買契約までの間、物件を押さえるには下記の方法が有効です。
- 売主へ売買契約日まで物件の販売を止めてもらうようにお願いする
- 早く不動産売買契約を締結する
条件合意した際に、不動産仲介会社を通じて売主へ、売買契約締結日まで物件の販売を停止することと自身の申込を「1番手扱い」にしてもらうようにお願いしましょう。つまり、売買契約日まで他から購入希望があっても断ってもらうという意味です。
また、売買契約日までの日にちが長いのは売主に嫌がられます。なぜなら、あなたとの売買契約締結日までの間、売主は他からどんな良い条件の購入希望が来ても断ることになり、大きな機会損失になるからです。
もちろん売買契約日の調整は売主の都合もありますから無理強いはできませんが、条件合意してから売買契約締結日までは極力早い日にち設定してください。不動産仲介会社が売買契約書や重要事項説明書を作成する時間も必要ですし、手付金の準備もありますから、概ね条件合意した日から5日~1週間程度が良いでしょう。
なお、指値の仕方についても過去に記事にしていますので、この記事と合わせて読むと効果的だと思います。ご興味があれば合わせて読んでみてください。
まとめ
不動産購入において買付の知識は欠かせません。取引慣習の原則だけ押さえておけば、そんなに難しい話ではありません。
大事なポイントは、欲しいと思った物件があったら早く買付を入れること、そして、売主との間で売買契約締結日までの期間における優位性の担保をしっかり交渉することです。
皆さんが素敵な物件と巡り合えることを祈っております。
今回もここまで読んで下さりありがとうございました!