不動産の話

不動産屋直伝!物件の現地確認・調査のチェックポイント(土地・戸建編)

皆さんこんにちは!

ミナンチャ(@minanncha)です

今回の記事は不動産購入の際の現地確認を含めた物件のチェックポイントについてです。

不動産を買う前には必ず現地を確認します。でも現地確認と言っても何処をどういう目線で見れば良いのか良くわかりませんよね。ただ眺めてるだけでは本当に大事なポイントを見落としているのではないかと不安になります。

今回の記事を読めば、プロの不動産屋と同じレベルで物件のリスクをチェックすることができるようになります。自身で理解すれば買う買わないの判断がより早くなり、他者に買付の先着順で劣後する可能性を低くできます。

なるだけ専門的な用語は避けて分かりやすく、本当に重要なポイントに絞って解説したいと思います。

僕が何百件と物件を取引し、失敗を含めて経験した実務に基きます。

それでは行ってみましょう!

※今回の記事は主に土地・戸建の場合を想定しています。マンションや一棟収益物件等は若干異なりますので予めご承知おき下さい。

前面道路

土地・戸建は道路が命です。物件を生かすも殺すも道路次第なのです。具体的な道路のチェックポイントを説明していきます。

STEP1 道路の所有者を確認

まず対象物件と前面道路部分の謄本を不動産屋からもらいましょう。もちろん自分で法務局やネットで取得することもできますが、面倒ですしお金もかかりますので不動産屋からもらってしまうのが良いでしょう。

謄本を取得したら対象物件と前面道路の所有者を確認しましょう。

謄本の簡単な見方は過去に記事にしていますので下記を合わせてご確認下さい。

「超簡単」不動産の謄本の見方。とりあえずココだけ見ればOK みなさんこんにちは。 腕利き不動産屋のミナンチャです。 不動産の謄本(以下「謄本」)ってなんか抵抗ありますよね。小難しい用...

前面道路部分の所有者が区・都・県などの行政が所有している場合、その道路は「公道」です。特に権利関係について問題はありません。

一方、前面道路の所有者が行政でなく、売主以外の第三者が持っている場合、あるいは売主以外に共有者がいる場合、その道路は「私道」であり、注意が必要です。

なぜなら「私道」の場合、通行したり掘削したりするのには原則として所有者全員の承諾が必要となるからです。私道所有者は「この道を勝手に通らないで」「掘削は破壊行為だからするな」と言えるのです。道を通行できなければ家に入れないし、掘削できなかったら水道管などのインフラの引き込み工事ができません。したがって、これらの理由から建築会社も私道所有者から通行と掘削の同意が得られていない物件は工事を請け負えません。

前面道路が私道である場合は、不動産屋を通じて売主が私道所有者から通行と掘削に関する承諾を書面(「通行掘削承諾書」などと呼ばれます)で得ているのかを確認することが大切です。

STEP2 本当に道路であるかを確認

世の中には一見どう見ても道路にしか見えないのに「道路ではない」という道が存在します。不動産の世界でいう道路とは、道の見た目ではなく行政が「敷地がこの道に接していれば建物を建築してOK」と行政が認めている道のことです。以下、この道を「建築できる道路」と記載します。

建築できる道路にはいくつか種類がありますが、街中でよくあるものが以下の3つです。都市圏ではこの3つの建築できる道路が概ね90%を占めますので他の種類は覚えなくてOKです。

  • 1項1号道路
  • 2項道路
  • 位置指定道路

それぞれについて簡単に説明します。

1項1号道路とは行政がこれは正真正銘の公道ですと認めた道路のことです。幅員が4m以上あり行政がしっかりと管理しています。

2項道路とは幅員が4mに満たない狭い道路のことです。公道の場合も私道の場合もあります。世の中の道路は将来的に幅員を4m以上に整備しましょうというルールがあります。したがって、2項道路である場合は、建物を建築する際に前面道路の中心から2m後退して建築すること(「セットバック」といいいます)が義務付けられています。道路向かいの対面の敷地も同様の義務を負うため、こちら側の後退2m+対面側の後退2m=4mとなり、将来的に4m以上の幅員の道路が整備されるという具合です。なお、この後退した部分は道路としてみなされるので自分の敷地として利用することはできません。よって前面道路が狭ければ狭いほど後退部分の面積が多くなり、自分の敷地として利用できる面積が少なくなるという点に注意が必要です。

位置指定道路とはこの私道を建築できる道路として認めて下さいと行政へ申請して認められた道路です。よって必ず私道になります。この道路には必ず「位置指定図」という図面が行政に保管されており、その名前のとおり、図面上で「ここからここまでの位置が道路です」と指定されています。区役所や市役所で閲覧したり、図面の写しを取ることができます。

これらの建築できる道路に敷地が接していれば建物を建築することができます。

言い換えると、これらの建築できる道に接していない場合は建物を建築することはできません。不動産業界ではこのような建築不可能な土地のことを「再建不」(さいけんふ)と呼びます。

ややこしくなるため、この記事では深堀しませんが、再建不でもやり方によっては建築することができたりもします。詳しく知りたいかたは、下記の記事をご覧ください。

再建築不可の物件を収益化!具体的方法から出口戦略までを解説 みなさんこんちには。腕利き不動産屋のミナンチャです。 最も嫌われ者の物件。みなさんは「再建築不可」物件をご存じでしょうか...

これらの道路の種類については役所の建築指導課へ訪問または問い合わせをすれば分かります。一部の市区町村ではHP上で建築できる道路の種別を公開しているところもあります。ご自身が本当に気に入った物件であって、担当している不動産営業マンが頼りないと感じた場合は、自ら調査してみることをおすすめします。

STEP3 現地確認

現地確認の際は5mメジャーを持っていきましょう。道路幅員が現況で何mあるのかを計測します。前面道路が2項道路であり、4m未満の場合、例えば3.6mだった場合は(4m-3.6m)÷2=0.2mが後退距離になります。

また、前面道路が位置指定道路である場合、事前に不動産屋から「位置指定図」もらって、現状の道路の位置と位置指定図に記載されている道路の位置が同じであるか比較して確認しましょう。時々、現状の道路位置と位置指定図に記載されている道路位置が異なっており、位置指定道路と物件の敷地が接していないことが判明し、実は再建築不可の物件だったというケースもあります。担当者によっては不動産屋でも見落とすことがありますので気を付けましょう。

敷地

敷地を確認する際のポイントを説明します。

境界標の有無

その物件についての測量図がある場合は事前に不動産屋からもらっておきましょう。現地にて測量図に記載されている位置に境界標があるかを確認します。測量図が無い場合には、目視で隣地との境界点付近に境界標があるかを確認します。境界標は石杭であったり、金属性のプレートであったります。

境界標が測量図の位置に無い場合や、そもそも境界標が存在しない場合は、売主に対して測量と境界標整備を完了させてから物件を引き渡してもらう条件で売買契約を締結します。

隣地との境界トラブルは皆さんが想像されている以上にハードです。隣地とのトラブルの引き金になり、話し合いで折り合いがつかなければ裁判になるケースも多々あります。

なぜ、境界整備を含めた測量が必要なのか詳しく記事にしていますので、さらに詳しく知りたい方は下記記事をご一読下さい。

土地の売却になぜ測量が必要なのか? どうも皆さんこんにちは。 ミナンチャです。 土地や戸建を売却するとき、不動産屋から必ず「測量しましょう」と言われます。登記...

越境物の有無

隣地との間で越境物がないか確認しましょう。具体的には、樹木の枝が隣地から物件の中へ越境しているとか、隣地の室外機が物件中に越境している様な状況です。

樹木の枝程度なら隣地に切ってもらうようにお願いすれば応じてくれることが多いですが、室外機やバルコニーなどの建物に付帯する工作物の一部が隣地から物件内へ越境している場合は将来的な越境解消を検討した方が良いでしょう。現状では問題なくても代替わりして将来的に隣地トラブルのもとになる可能性もあるからです。

将来的にトラブルになる恐れのあるレベルの越境である場合、売主に対して、引き渡しまでに隣地所有者から「今すぐじゃなくてもいいけど将来家を建て替える場合には越境状態を解消してね」という内容の覚書を取得してもらうことがよくあります。

売主との相談事項となりますが、不安なレベルの越境であれば不動産屋を通じて売買条件とすることを交渉してみましょう。

上下水道の隣地越境

敷地内の水道メーターと下水桝の位置を確認しましょう。

予め不動産屋から水道管と下水道管の道路からの引き込み位置が記された図面をもらって、現地にて引き込み位置と推測される場所に水道メーターや下水桝があるかを確認します。

注意したいのが、実は売主も気づいておらず、隣地の土地の下を通過して水道管や下水道管が物件内に引き込みされている場合や、逆に隣地の水道管や下水道管が物件の土地の下を通過して引き込みされている場合です。

昔は一宅の大きな敷地で、その敷地を分割して出来ている土地の場合には、そのような上下水道の越境状況がよく見られます。

隣地の上下水道管が物件の下を通過して配管されている場合には、越境物と同様に売主に覚書を取得してもらうようにしましょう。将来の隣地トラブルの芽は摘み取っておきたいですから。

塀の位置と高さ

日本の不動産には塀がつきものです。でもその塀は果たして本当に売主が所有している塀でしょうか。一般的には境界より敷地内に存している塀は売主の所有、境界より隣地内に存している塀は隣地の所有の塀であることが殆どです。

では境界の中心に存している塀はどちらの所有でしょうか。この場合は売主へ塀の所有について認識を確認する必要があります。共有の塀または隣地の塀である場合、勝手に築造替えすることはできません。

また、塀の高さにも注意が必要です。建築のルール上、塀の高さが1.2m以上で安全性が確保できていない塀が存すると、建築後にしっかり適法に建築できてますよという役所のお墨付き(検査済証といいます)が取得できない場合があります。このお墨付きが取得できないと銀行融資に影響したり、将来売却する際の障害になったりします。

1.2m以上で安全性(支え壁がついている等)が無い塀である場合は、建築の際に築造替えも検討する必要があり、費用が生じます。また、隣地との共有の塀であれば隣地と築造替えについて費用負担を含めて相談が必要となります。

建物

建物については売主が居住中であったりして容易に内見できない場合が多いので、ここでは外観の目視で確認できる注意点について説明します。

STEP1 謄本を確認する

不動産屋から建物の謄本を貰いましょう。確認するポイントは構造と床面積です。

出典:法務省

上記の例ですと、木造2階建で1階80平米、2階70平米であることが分かります。注意点は謄本に記載されている内容は必ずしも現況と一致しないということです。この点を忘れないでください。

STEP2 建築計画概要書を確認する

相当古い建物でない限り、役所に建築確認申請時の建物の概要を記録した書類が保管されています。物件を担当している不動産屋ならばこの程度の資料は当然に調査していると思いますので、見せてもらいましょう。門間市にちょうどよいサンプルがあったのでお借りしました。

出典:門間市
出典:門間市

建築確認申請時の建物の設計会社や施工会社、床面積、用途など細かな情報が記載されています。ちなみに前面道路が2項道路である場合は道路後退距離が何mなのかについても図示されている場合が多いです。

STEP3 現地を確認する

最後に現地にて謄本や建築計画概要書に記載してある内容と現況の建物が相違していないか目視で確認しましょう。

例えば謄本では2階建と記載してあるのに、実際は3階建てであるだとか、建築計画概要書の記載では1階は駐車場と記載してあるのに店舗になっている等です。また、良くあるケースではバルコニーをサンルームに変更していることがあります。

登記・建築計画概要書と現況が異なる場合、未登記の状態あるいは違反建築の可能性があります。いずれの場合でもそのままの状態では銀行融資が使えません。

未登記である場合は登記して、かつ建ぺい率や容積率に違反性がないかを確認する必要があり、違反建築の場合は是正可能なレベルであれば是正する必要があります。

銀行融資を利用せずに現金で購入する場合は、障害にはなりませんが、将来、売却する際にも買主は同様に銀行融資が利用できないことを理由に購入できなくなる可能性が高いので売りにくくなります。また、違反建築であれば行政から是正命令を受ける可能性があります。

すでに添付した記事ですが、建ぺい率や容積率違反についても記事していますので合わせてご覧下さい。

「超簡単」不動産の謄本の見方。とりあえずココだけ見ればOK みなさんこんにちは。 腕利き不動産屋のミナンチャです。 不動産の謄本(以下「謄本」)ってなんか抵抗ありますよね。小難しい用...

まとめ

土地・戸建を見る際の最重要ポイントは以上です。ここで紹介した謄本や建築計画概要書などはご自身で取得することも可能ですが、手間も費用もかかりますので不動産屋からもらうことをお勧めいたします。資料提供を受ける際ですが、その物件を担当している不動会社であると内容も良く分かっており、資料もすでに取得済みであるためスムースかと思います。物件を直接担当していない不動産会社であっても、あなたが真剣に購入を考えている態度を示せばすぐに資料を取り寄せて丁寧に説明してくれるはずです。

不動産会社が物件調査をする際に抑えるポイントに沿って説明しましたので馴染みのない部分もあるかと思いますが、知っているのと何も理解せずに不動産屋から言われたままなのとでは大きな違いがあります。

また、物件の見方や調査ポイントについても経験がものを言います。場数を踏めば踏むほどリスクを見抜く目も養われていき、短い時間ですぐにポイントを押さえられるようになります。是非、物件探しにお役立ていただければと思います。

今回もここまで読んでくださりありがとうございました!

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