どうも皆さんこんにちは。
ミナンチャです。
土地や戸建を売却するとき、不動産屋から必ず「測量しましょう」と言われます。登記簿謄本に面積が記録されてるのに何故わざわざ測量する必要があるのでしょうか。土地や戸建を売るのに本当に測量は必要なんでしょうか?今回はそんな疑問に不動産屋が答えていきたいと思います。
この記事で分かること
この記事の信頼性
この記事はこんな人が書いています。
- 業界大手の財閥系不動産売買仲介会社で17年間に亘って仲介業務を経験
- 現在まで300組以上の売買仲介案件を成約
- 1級ファイナンシャルプランナー
- CFP認定者
- 宅地建物取引士
結論
測量は必要です。
義務ではありませんが、測量しないと買い手が付きません。
なぜ測量が必要なのか
ではなぜ測量が必要なのでしょうか。それには理由があります。順にご説明していきましょう!
正確な面積を知るため
登記簿謄本(以下「謄本」)に記載されている地積(面積)は正確ではありません。
直近で測量をして地積を正しく直す登記(地積更正登記)を法務局へ申請している土地であったり、国が測量(国土調査)を行っている地域の土地であれば謄本に記載の面積と実際の面積は同じになります。
ですがそんな土地は非常に少なく、日本に存する殆どの土地がずいぶん昔に測量した内容を謄本に記載しています。昔の測量は非常に精度が低く、大昔のものですと人が縄を使って土地を測っていたものもあります。
つまり、実際に測量してみると、謄本に記載されている面積と本当の面積が違うということが殆どなのです。
買主の立場を想像してみて下さい。
自分の気に入った土地があり、不動産屋に面積について尋ねた時に「う~ん。なんとなく30坪から35坪くらい」とか言われたら怖くて買えませんよね。そもそも1平米面積が違うだけで、自分の希望の間取りの建物が建てられらない場合だってありますから。
売買対象の区域を明確にするため
売却物件の区域が「どこからどこまでなのか」。これを明確にすることも重要です。
これも買主の立場を想像して下さい。物件の現地案内に行って不動産屋にこう尋ねたとします。
「隣の家との間の塀は本物件のものですか?隣の通路のように見える部分は本物件のものですか?」
不動産屋がこう答えたとします。
「知りません」
怖くて買えません。
自分が買おうとしている物件の区域が不明であることは、何千万円も払って不明瞭なものを買うことと同じです。
隣地との所有権境を確定するため
不動産の購入で最も恐ろしいのが、隣地との境界トラブルです。
自分の土地であると認識している部分について、他人が所有権を主張してくるというのは恐怖でしかありません。
これを未然に防ぐために、土地を正確に測量して、隣地所有者と現地で確り立ち合いをした上で、書面にて相互に所有権境を確認する必要があるのです。
越境物を確認するため
明らかな樹木の越境などは目視で分かりますが、現地に境界標がない場合、塀などの隣地との間の構築物の越境を判定するのは困難です。
予め測量をすることで、隣地との間にある越境物を明確に知ることができます。事前に知ることで対策をすることもできます。
例えば、隣地と交渉をして越境を解消したり、今すぐに越境状態を解消できないような状態の場合は、将来、建て替えをした際には越境状況を是正する旨の覚書を取り交わしておく等の方法が有効でしょう。
これらの対策を事前に講じることで、買主は安心して売主から物件を買うことができます。
確定測量しないと土地を分割できないため
土地の一部を売る場合など、当然に土地を分割する必要があります。同様のケースで、広い土地を不動産業者へ売る場合も、土地を分割可能な状態で売ることが一般的です。不動産業者は土地を買い取ったあと、いくつかの区画に分割して新築戸建を分譲販売したりするからです。
この土地を分割することを「分筆」といいますが、分筆するためには土地を確定測量する必要があります。
通常の測量と確定測量との違いは、道路などの公有地を含めて境界確定をするかどうかです。
詳しくは後述しますが、測量とはただ土地を測るだけではありません。各隣接地の所有者と現地立ち合いをして、境界を確認したことを書面で取り交わします。
通常の測量の場合、隣接する民間の土地(前面の道路を除く)について境界確定をし、
確定測量の場合、隣接する民間の土地と前面の道路を含めた全ての隣地との境界確定をすることを指します。
どんな手順で測量するのか
一般的には下記の流れで行います。
- 現地調査・法務調査
- 境界の有無などを確認
- 法務局などで権利関係を調査
- 仮測量図作成(物件の販売活動スタート)
- 現状の調査内容で推定される「仮の測量図」を作成
- 「仮」なので確定の結果、面積が相違する場合有り
- 隣地との現地立会い
- 現地で土地の境界線・境界点を確認
- 境界標がない場合は調査内容をもとに推定される境界線を測量士が説明
- 境界確認書の取り交わし
- ③で確認した内容を互いに書面で取り交わし
- 境界標がない箇所は、隣地と確認したポイントに境界標を新設
- 確定した測量図の完成(不動産取引の決済が可能になる)
ちなみに、境界確認書については、過去に隣地と取り交わしたものでも有効な場合がありますので大切に保管しましょう。
一方で、取り交わした相手方が既に所有者変更となっていたり、あまりにも古く測量内容に信ぴょう性が低い場合は、新たに取り交わしが必要となる場合があることも知っておいてください。有効無効の判断は測量士が法務局へお伺いを立て、仮に分筆する場合にも有効に利用できる内容であるかを確認します。
費用と時間はどれくらいか
ケースバイケースなので一概には言えませんが、費用の目安として概ね30万円~100万円だと思います。幅が大きいですが、土地の大きさや隣接する所有者の数、確定測量なのか通常の測量なのかなどによって異なります。
そうです。測量はすごく高いのです。
このため、事前にいくつか見積りをとることをお勧めします。不動産屋に相見積もりをして欲しい旨を伝えて下さい。
時間についても一概に言えませんが、目安として通常の測量の場合は2か月程度、確定測量の場合は3か月~4か月程かと思います。特に確定測量で前面道路が公道の場合は、お役所との現地立会が必要となるため、かなり時間を要します。明日来てください!分かりました!とは行きません。現地立会の申請してから1か月以上待たされることもザラです。
そうです。測量はすごく時間がかかるのです。
不動産を売却する場合、通常は物件の引き渡しまでに測量が完了していることが条件となります。買主も資金の準備ができていて、売主もいつでも決済できる状態でも、測量が終わっていないから決済(引き渡し)できないというケースはよくあります。
時間に余裕をもって測量をスタートさせるようにしましょう。
まとめ
土地・戸建の売却では測量は必須となります。なぜ必要なのかを確り理解して納得してスタートしてほしいと思います。
費用は高額ですが必要経費と思って下さい。
また説明のとおり、時間がすごくかかります。不動産を売却することが既に決定しているのであれば、なるだけ早く測量をスタートするようにして下さい。
買主が安心して物件を購入できるために、トラブルの種を未然に刈り取るために、早めに測量しましょう。
不動産売買の実務の知識を少しでもお役立て頂ければ幸いです。
今回もここまで読んで下さり、ありがとうございました!