皆さんこんにちは。ミナンチャです。
今日は2021年にブームとなった禁断の高配当ETFである「QYLD」について、購入してから半年間、運用してみて分かった「買わない方が良い理由」をお届けしたいと思います。
記事執筆現在(2022年7月)の利回りは約12%にもなります。文句なしの超高配当ETFです。
ブームの火付け役はユーチューバーやTwitterなどのSNSでの情報発信でした。2021年には高配当株投資スタイルの投資家から絶大な人気を集め、かなり売れたと記憶しています。かくゆう私もミーハーな投資家の一人としてNISA口座の余力MAXで購入しました。
その後、皆さんご存じのとおり2022年に入り、年明けから米国ではFRBがインフレ退治のために利上げを実施し、株価は大きく低迷しました。NASDAQに至っては年初来20%以上の下げを記録し弱気相場入りしました。
こんな当時の相場の背景も確認しながら、半年運用した結果と私なりに気づいた購入検討される方に向けた注意点をご説明したいと思います。
この記事はこんな人が書いています
- 短期投資歴5年、長期投資歴5年
- 運用資産額2,300万円
- 長期投資にて5年で運用資産は約4倍
- 高配当日本株、米国ETFを運用中
- 1級ファイナンシャルプランナー
- CFP認定者
※すべて記事執筆時点
まずはQYLDのおさらい
このETFの仕組みは少し複雑です。しっかり説明しようとすると幾つもの図解とオプション取引の知識が必要となり、このブログの主旨から離れてしまうため、詳細はべつの方のブログに譲ります。ここでは本当に簡単に説明することとします。
このETFの運用会社であるグローバルX社のサイトではETFの概要を次の様に説明されています。
「カバード・コール戦略で利益を生み出そうとするもので、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数のコール・オプションを売却します。」
要するに、ナスダック100指数の株式を購入し、同時にそれら株式の「決まった価格で買う権利」を投資家へ売ることでオプション手数料を稼いでいるETFということです。
これの意味するところは、ナスダック指数が上昇すれば、グローバルX社は市場の価格より安い価格(事前に決めた価格)で権利を買った投資家へ売却しなくてはらず、ナスダック指数が下落すれば、市場より高い価格(事前に決めた価格)で買おうとする買手はいないため、オプション手数料だけゲットできるということです。
言い換えれば、上昇相場の儲けを犠牲にしてオプション手数料を稼ぐということです。
ちなみに公式サイトに掲載されている2022年7月時点の構成銘柄は下記のとおりです。ナスダック指数銘柄のため、アップル・マイクロソフト・アマゾン等のテック企業が多いです。
なぜ買ったのか?
当時は他にもSPYDやVYMなどの高配当ETFは保有していたものの、3~4%の利回りに満足できていませんでした。そんな中、台頭してきたのがQYLDでした。
当時の利回りでも約10~11%程を出しており、非常に魅力的に思い、運用資産の5%程度なら試してみてもいいか、くらいの軽い気持ちでポチってしまいました。
外国株にかかる配当金は現地で税金が10%課税され、その後に日本でも更に20%が課税されるため、税金の負担というのは非常に大きいものがありました。その負担を少しでも削って手取りを高めようという発想から、2022年の1月にNISA枠目いっぱいの120万円分(462口)購入しました。
配当金はいくら貰えたのか?
最初のころは、円安の影響が大きく、月々の配当金が約1万円前後入ってきたため、なんて素晴らしいETFなんだ!と思っていました。安定した配当金というのは麻酔のように、市場相場の下落の痛みを精神的に和らげてくれました。
受け取った配当金の実績は下記のとおりです。
<配当金実績>※配当時の為替相場による円ベース
- 2022年2月2日 :9,637円
- 2022年3月3日 :9,576円
- 2022年3月30日:10,744円
- 2022年4月27日:10,797円
- 2022年6月2日 :9,496円
- 2022年7月1日 :9,789円
6ヵ月合計 :60,039円
120万円の投資に対して概ね平均して月1万円(税引後)くらいの配当収入でした。
トータルリターンはどうなったか?
見てください!この美しいまでの滑り台を!(笑)
取得価格22.24ドルに対して、約6ヵ月後の7月時点で17.75ドル。つまり20%下落。
分かりやすくするため為替の変動は除外して考えても、120万円×▲20%=▲24万の損失です。
トータルリターンで考えても、▲24万(譲渡損)+6万円(配当金)=▲18万円
めっちゃ損!(爆笑)
なぜQYLDは勧めらないか?
基本的には損する構造だと思うからです。
確かに今は相場が良くありません。ナスダックは暴落しています。では暴落相場じゃなかったら下落しないのでしょうか?このETFの設定日である2013年まで遡って見てみましょう。
ダメじゃん!
コロナショック以前から全体的なトレンドは下落です。
冒頭の説明を思い出して下さい。このETFのモットーは「上昇相場の儲けを犠牲にしてオプション手数料を稼ぐ」です。
つまり、相場上昇時でも上がらない、下落時でも受け取るオプション手数料以上の損失であれば下落するのです。長期的には余程の上昇相場が継続していないと譲渡損になる設計という訳ですね。
私の中では、トータルリターンでプラス維持が難しいのであれば、健全にQQQと御三家高配当ETF(VYM・HDV・SPYD)のどれかを買う方がマシという結論です。ですから、QYLDの購入を検討されている方に対する私のアドバイスは「お勧めしません」ということになります。
まとめ
あの有名な投資の神様も言っていましたが、自分で理解できないものは買わないというのが正解なのでしょう。そもそもこのETFは一般人にとっては仕組みが複雑すぎます。おそらく、カバードコールですとかオプション取引ですとか全く分からずに買っている人も大勢いるのではないかと思っています。
その複雑さと毎月の配当金の多さゆえに”勝ちにくさ”が見えにくいETFであると感じました。
今回もここまで読んで下さりありがとうございました!