不動産の話

不動産会社によって査定価格が違う本当の理由

皆さん、こんにちは。ミナンチャです。

突然ですが、不動産の査定をされたことありますか?

不動産の査定を依頼してみると、不動産会社によって査定価格が全然違う。なぜでしょうか。査定価格が高い会社へ依頼すればあなたの物件は高く売れるのでしょうか。その疑問に不動産屋が答えます。

個人ブログであり会社の風評は関係ありませんので、今回も不動産屋の本音で内情をお話ししていきます。不動産屋の思考が見抜ければ正しい売却依頼先を選べるようになるでしょう。

ではいってみましょう!

この記事の信頼性

この記事はこんな人が書いています。

  • 業界大手の財閥系不動産売買仲介会社で17年間に亘って仲介業務を経験
  • 現在まで300組以上の売買仲介案件を成約
  • 1級ファイナンシャルプランナー
  • CFP認定者
  • 宅地建物取引士

「査定価格=売れる価格」ではない

不動産査定は、バイクや車の買取査定とは違います。査定を依頼した不動産会社があたなたの不動産を買い取る価格を提示しているわけではありません。近隣の相場や過去の成約事例などを基に、買主がこの程度の価格なら買ってくれるであろうという見込み価格を推測するものです。

「査定価格=相場から推測される成約予想価格」です。

つまり、どの不動産会社もあなたの物件が売れる値段をピタリと予知することはできないのです。まずここはしっかりと押さえておくべきです。

不動産会社はあなたから査定依頼を受けたら、さまざまな意図に基づいて価格を提示しています。では高く査定したり安く査定したりする真意はなんなのでしょうか。順に説明していきましょう。

査定価格を高くする理由

え!私の物件ってこんなに高く売れるの?って疑いたくなるような価格を言ってくる不動産会社がたくさんいます。それには不動産会社なりの理由があります。

インターネットの一括査定だから

最近はインターネットの一括査定サイトからの査定依頼が本当に増えました。依頼する側は手軽だし、直接しつこくセールスされる心配もないですし当然ですね。

しかし、この一括査定、不動産屋からすると「超面倒くさい」のです。そもそも売る気もない査定が殆どで、数ばっかり来るもので、売却依頼に結び付く可能性は極めて低いのです。以前に僕の会社で、インターネットの一括査定依頼から実際の売却依頼に繋がったケースを調査したところ、2~3%くらいでした。100件査定して3件の売却依頼受託とかって超絶非効率です。

だったらネットの一括査定なんか受けるの止めてしまえばいいじゃないか?と思われるかもしれませんが、大手不動産会社の場合そうも行きません。ライバルの大手不動産会社が対応している以上、うちの会社だけ対応できませんという立場はとれないんですね。

営業マンの本音を言うとインターネットの一括査定なんかやりたくないのです。

だから適当に高めの価格を出して投げ返しておきます。低い査定価格を出してクレームを言われることはあっても高い価格を出してクレームを言われることはないですし、万に一つ、2~3年後に反響があるかもしれないからです。当然、物件を実際に見てるわけでも無いですし、入念な調査もせずに査定報告します。時間の無駄なので。

そんな理由で「適当に高く査定する」のです。

「委任を受けること」を目的としているから

明らかに相場よりも高い査定価格を提示する不動産会社には2つタイプがあります。

まず1つ目は、そもそも売る気が無い、とまでは言いませんが、売る自信もないのに高い査定価格を提示する会社です。そこには、まず売主から売却の依頼(媒介契約)を頂かないと成約のチャンスすら無いからという発想があります。これらの会社の考えは「とりあえず売却依頼を受けて、運良く売れたらラッキー」ぐらいにしか考えていません。サル程度の思考で、無計画過ぎて売主に対して失礼極まりないです。

2つ目は、売主に対して、まずは耳障りの良い高値をチラつかせて、売却依頼を受けた後、言葉巧みに売れない理由を並べたてて、じわじわと蟻地獄のように価格を下げていく戦法をとる会社です。今も有名な某大手不動産会社が過去にこのような販売の仕方をやり過ぎて問題になったこともありました。本当は適正相場で販売していれば早期に良い買主が見つかったはずなのに、時間ばかりを掛けて「売れ残り物件」のイメージを付けて物件の成約チャンスを棄損してしまいます。

そんな目的で「とりあえず、または戦略的に高く査定する」のです。

引く手あまたの超優良物件だから

出せばすぐ売れる好立地な高級マンションや人気の一等地などの場合は、高値で売りに出しても買主がその価格について来る場合があります。また、そういう物件には「ここのマンション限定で探しています」とか「ここの高級住宅地で売り物件がでたら買います」という買主が多くいて、不動産会社がそういう買主を既に持っているケースがあります。多少相場より高めでも、その買主さんの購入意欲と予算が高いので、購入していただける見込みがあるからです。

こんな場合はどの会社も「自分の抱える顧客へ売却したいので高く査定する」のです。

ただし、これは本当にピカピカの物件の場合に限ります。

査定価格を低くする理由

一方で意図的に査定価格を低く提示する場合もあります。そこにもまた不動産会社の意図が隠れています。

それが本当に相場だから

これは良くあるケースです。複数の査定を依頼した中で一番低い査定価格の不動産会社について、売主はその会社の査定価格は「安い」と思い込みます。ですがいざ売却活動をしてみると高値で査定された販売価格では全く売れずに、結果的に一番安いと思っていた不動産会社の査定価格で売れたという場合です。

最初から適正な価格を設定して販売すれば早期に売却できたはずです。ですが、相場から大きく乖離した高値で販売を続けた結果、近隣物件は売れていくのに自分の物件は売れず、いわゆる「売れ残り」のイメージが付き晒し物件のように時間ばかりを浪費する結果となるのです。しかも最終的に売れた価格も、結局は一番安かった査定価格を下回ったということも良くあります。

物件への想いに囚われず、冷静に不動産会社の意見に耳を傾けることも必要です。

一般個人に向けて売れない物件だから

面積の広大な土地で、総額が張ってしまったり、物件に瑕疵(欠陥)などがあって個人の買主が購入できない類の物件の場合は、プロの不動産業者に販売することを想定した査定価格となります。

プロの不動産業者は転売を目的としてあなたの物件を「買取り」します。この場合、一般個人が通常の物件を購入する場合の単価よりも一般的には割安となります。

またプロの不動産会社へ売却する場合には、価格は割安となる一方で、物件に対する売主の責任を全て買主い押し付けて売却できたり、特別な売主の事情を汲み取って内密に売却をしたりなどの価格以外のメリットがあります。

売主の事情や物件の特性を踏まえ、業者向けの売却が適正と判断される場合は、業者向け価格として一般個人よりも割安な査定価格を提示します。

不動産営業マンができる限りプロ業者へ売却したい理由についても記事にしていますので、興味のある人はあわせて読んでみて下さい。

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そもそも委任を受けたくないから

正直なところ、不動産会社が売主から売却依頼を受けたくないケースというのもあります。物件的な理由と売主的な理由があります。

物件的な理由とは、地方の買い手が全くつかない物件とか、価格が余りにも低いワンルームマンションなどです。これらの物件は下手に売却依頼を受けてしまうと、労力ばかりかかって全く売上にならないからです。残念ながら不動産会社もボランティアではないので、売れない物件は受けたくないのです。

つぎに売主的な理由とは、共有者間で紛争しており売るに売れない場合や、クレーマー気質な顧客の場合です。特にクレーマー気質の顧客については、大抵はどの不動産会社にも相手にされずに、わがままを聞いて対応してくれる会社を探している場合が多いです。このタイプの顧客はたとえ10億の物件の相談でも受けません。僕たち仲介会社は、売主さんだけでなく買主さんもお客さんです。変な顧客と関わるとその取引の相手側である買主にも迷惑をかけてしまいます。

これらの場合は、低めの査定価格を出してこちらからお客さんを遠ざけます。

では、どういう不動産会社を選ぶべきか

ここまで不動産会社の査定依頼を受けた場合の事情をお話してきました。

ではあなたは査定を依頼した数ある不動産会社からどこを選べばよいのでしょうか。

それは「しっかりと合理的な根拠」を持って査定価格を説明してくれる会社です。相場が上がってますから売れますとか、大手不動産会社だから販売力がありますとか、そういう根拠のない非論理的な説明でなく、近隣の成約事例やそのエリアのデータに基づく市場動向など、納得できる根拠を示してくれる会社です。

なぜその査定価格なのか、適正な相場はいくらなのか、などを自分がしっかり理解できる説明をしてくれる会社が良いでしょう。

また、販売スタートの価格に関しては売主さんが決めるものですから、不動産会社とよく相談して、相場をちゃんと理解したうえで高値でスタートするのは全然ありです。

なお、不動産会社は信用面でも情報量でも大手のブランドが強いのが事実です。不動産会社を決めかねているのであれば、ひとまずは大手不動産会社とする判断も間違いではありません。現在のところ業界最大手は三井のリハウスです。

【三井のリハウス】

まとめ

いかがでしたか。不動産の世界は面白いですね。

査定価格ひとつをとってみても、様々な思惑に基づいて作られています。不動産屋の思考を見抜ければ、きっと的確な判断ができるようになると思います。

皆さまと買主さんとの良縁を願っております。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!

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