不動産の話

再建築不可の物件を収益化!具体的方法から出口戦略までを解説

みなさんこんちには。腕利き不動産屋のミナンチャです。

最も嫌われ者の物件。みなさんは「再建築不可」物件をご存じでしょうか?再建築不可物件とはひとことで言いますと「建物が建てられない物件」のことです。

今回はいつもと違った記事として不動産投資のグレーを攻めてみます。

ズバリ「再建築不可の物件で稼ぐ」です。いつもどおり難しい専門用語は極力避けて分かりやすくいきたいと思います。

人と同じ物件を同じ様に買って同じことをしても、ついてくる結果も同じです。ここはひとつ不動産の奥底へ冒険してみましょう。もちろん注意点もいつくあります。順に見てみましょう。

この記事の信頼性

この記事はこんな人が書いています。

  • 業界大手の財閥系不動産売買仲介会社で17年間に亘って仲介業務を経験
  • 現在まで300組以上の売買仲介案件を成約
  • 1級ファイナンシャルプランナー
  • CFP認定者
  • 宅地建物取引士

なぜ建物が建築できないのか

まず建物を建てるためには最低限のルールがあります。それは「敷地が2m以上道路に接していること」です。このルールの背景には、火災などが起きた際にちゃんと人間が外に避難できるためという意味があります。

ちなみに街中でよく下記の図ような形の土地を見ませんか?

奥まった土地であるがゆえに何とか道路に敷地をくっつけて接する幅を2m以上確保しているのです。これは正に「敷地が2m以上道路に接していること」というルールを守るためなんです。そうでないと建物が建てられなくなるからですね。

再建築不可の物件とは即ちこのルールが守れない土地のことです。具体的な例として下記の図のようなパターンがあります。

他にも様々なタイプがありますが、概ね上記の2つの理由で再建築不可となる物件が多いと思います。なお、上記2つ目の図の接している道が「道路」でない場合ですが、緑道である場合から一見するとどう見ても道路にしか見えないものまで様々なタイプが存在します。ここで言う「道路」の定義は、嚙み砕いてい言うと「行政が道路として認めた道」ということになります。

その道が「道路」であるかどうかは役所の建築指導課などで調べることができます。一部の地域ではインターネットでも閲覧できるものもあります。

それでも再建築にトライするには

でも建物建てたいんだよ!ってワガママなそこのあなた、方法はありますよ。

この「敷地が2m以上道路に接していること」というルールは建築基準法という有難いルールブックに記載されており、「ただし・・・・の場合は建築できる」という注釈があります。

(;・∀・)ナニソレ

ズバリ「お役所が許可した場合はOKよ!」です。お役所とは建築審査会という大変偉い部会です(笑)。

ではどんな場合に許可してくれるのでしょうか?

火災時に避難しやすいと認められる場合

たとえば隣接地が公園や空き地などで避難路を容易に確保できるとか、隣地の庭先になっていて勝手口を設けることで避難できる形状になっているなどの場合です。

僕の担当した物件でまさにこのようなパターンを経験したことがあります。その物件は再建築不可だったのですが、敷地の奥に隣地の庭に出られる勝手口があったために建築許可がもらえた事例がありました。

言い換えれば、隣地と交渉して万が一のための避難路として勝手口の設置を許可してもらうことができたり、空き地等があって容易に避難路を確保できたりする場合は建築の可能性が見えてきます。

将来道路にする約束をみんなでする

これは2m以上道(以下ややこしいので「通路」と言います)に接しているものの、その通路が行政の認める「道路」でないパターンの場合です。

この場合、行政に対して、その通路について将来道路として整備することを、その通路に接している人全員と約束し、申請書に全員で署名押印をして行政に提出する方法があります。行政がその申請を認めれば建築が許可されます。

ここでいう道路として整備するとは、将来、建物を建て替える際に、前面道路の幅員が4m以上になるように道路際から少し後退して建築することであったり、アスファルト舗装をすることであったり等をみんなで約束することを意味します。

ここで大事なポイントを一つ言います。

必ず過去にそのような約束がなされた事実があるかを確認してください。確認方法は2つです。

ひとつ目は、役所の建築指導課へ行って確認することです。過去にその土地、或いは同じ通路に接する他の敷地上の建物について過去に将来の道路整備に関する約束(協定)が締結されているか確認します。

二つ目は、現地確認です。購入を検討している物件と同じ通路に面する並びの建物で新しい建物がないかを確認することです。どうみてもここ数年以内に建築されたであろう建物があれば、その建物の建築に関して、何等かの申請がなされて許可が得られていることが推察できます。

これらの確認で本当に建築できない敷地なのか否かの判別ができます。

いっそうのこと道路を作ってしまう

”鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス”です。

道路がないなら作ろうという発想。かなりの労力と費用を要しますが新設予定の道路に接する人やその道路を新設することで利害関係が生じる人全員からの承諾が得られれば可能です。

このパターンも僕は経験があります。お客さんの敷地の中に食い込ませるような形状で道路を申請したことがあります。もちろん土地家屋調査士などの協力を得て行いましたが、利害関係者からの同意を得るのにかなり苦労した記憶があります。それだけハードルは高いということですね。

隣地の土地を買い取る

道に接する幅が足りない土地であれば、足りない分を隣地から買い取るということです。

例えばあと10cm間口が広がれば合計で2mとなり建築可能となるような場合、多少高い価格であっても隣地が土地を譲ってくれる可能性があれば積極的に買いに行くべきです。相場の2~3倍の価格であっても買い取ることでその何倍もの恩恵があるからです。買う面積はそんなに大きくないでしょうから多少単価が高くても総額にしたらそんに大した金額ではないはずです。

2mの間口が実現できた瞬間、あなたの土地の価値は倍以上に膨れ上がります。是非トライするべきです。

リフォームという選択

一方、建て替えは手間なので、割り切ってリフォームで対応するのも有効な手です。

ただし、ご自身が自己使用する場合を除き、賃貸目的でしたらどこまでのリフォームをするのかを確り事前に決めておかなくてはいけません。リフォームは建て替えより安いと考えられる方がいますが、青天井です。やろうと思えばいくらでもお金をかけてしまえるからです。

例えば外壁塗装でも、顔になる正面だけ行うとか、水回りは極力いじらずにクリーニングだけで済ませるとか、ポイントに絞ってオシャレ感を演出するなどです。

賃貸物件の成約率も結局は賃料と物件バリューとのバランスです。お金をかけるべきポイントとそうでないとろを分ける意識が大切です。賃料設定を間違えなければ必ず成約できますので。

リフォーム会社を利用する場合には、一定水準以上の複数の業者を比較することをお勧めします。

下記にお勧めのリフォーム会社の比較サイトを貼っておきますので、ご参考にしてください。

リフォーム比較プロで見積もり比較

収益化について

今まで説明してきた建て替えやリフォームなどの準備が整いましたら、いよいよ賃貸募集です。

再建築不可の物件を加工する場合、賃貸するときその恩恵が一番感じられます。なぜなら賃借人にしてみれば「再建築できないとかどうでもいいから」です。

あなたは再建築できないというリスクを抱える代わりに相場よりも相当安い価格で物件を購入しています。感覚的に一般的な周辺相場の半値8掛けくらいでしょう。一方、設定できる賃料は再建築できる普通の物件となんら変わりません。これの意味するところは高利回りですね。

そうです。みんなだい好き「利回りグルングルン」です。

出口戦略はどうするか

最後は売り抜け方です。

再建築不可の物件を一般個人に売るのは困難です。なぜなら瑕疵(欠陥がある)物件だからです。不動産屋が再建築不可の物件を販売する際には、個人に向けて売却することに対しては相当に神経を使います。クレームを引き起こす可能性が高い物件だからです。再三にわたってデメリットをしつこいくらいに説明し、本当に理解できた人にしか売りません。

では売るにはどうしたらいいのかについてご提案します。

建築可能な土地と証明してみせる

先に説明のとおり、世の中の再建築不可とされている物件は、実は一定数は建築することが可能な物件です。すこしハードルを越えないといけませんが、建築会社とか測量会社とかの協力を得て対応すれば乗り越えらるハードルだと思います。

建物を建ててしまえればこちらのものです。それは「建物を建築できる土地である」ということの何よりの証明になるからです。論より証拠というわけです。

もちろん再建築できる普通の物件と同じ価格相場で売ることはできませんが、リスクを理解できる人であれば実際に新築されている建物を見て購入に踏み切る人はいると思います。

利回りで勝負する

建て替えせずにリフォームをした方はこの出口を目指しましょう。とにかく利回りに拘ってください。他の物件と競合して勝てる唯一の要素は収益物件としての利回りです。

このエリアでこの利回りの物件はなんだ?と目を引きます。収益物件というカテゴリーにおいて他の物件はあなたの超高利回り物件には勝てません。

上手くマッチすれば、とっぽいセミプロの不動産投資家が買っていきます。

業者へ売る

最後の手はプロの買い取り業者へ売る方法です。

価格は一般個人へ売却する場合と比較すると割安になりますが、価格面以外の条件面において面倒なことは全て丸呑みで買ってもらえる場合があります。設備の補修リスクとか物件の欠陥とかがあっても一切ノークレームです。

業者だったらどこでも買うかと言われるとそんなことはありません。普通は業者でも再建築不可の物件はお断りです。ですが、魑魅魍魎の不動産の世界では、再建築不可の物件買取を得意とする業者が存在します。

ですがそのような業者を個人が特定してアクセスすることは不可能です。ネットで適当に調べてヒットした業者とか危険で仕方ありません。ましてや普通の物件でないものを買い取ることを前面的に広告している不動産会社とか危険極まりないです。おそらく騙されたり、詐欺まがいの事件に巻き込まれます。やめましょう。

そこで活躍するのが我々、プロの不動産売買のエージェントです。

私たち不動産屋の価値は人脈と専門的な情報量です。取引実績があって安全安心な信用力のある業者を複数選定し適正な価格で購入する買主を見つけてきます。

まずは相談して下さい。力になりますから。

知っておきたい注意点

再建築不可の物件を扱うにあたって注意いただきたい点をお話しします。

銀行融資が使えない

再建築不可の物件を購入する際に原則、銀行融資は使えないと思って下さい。銀行が担保にするにあたって再建築できない土地というのは担保評価できません。

ですが、融資可能な場合があります。それは銀行の融資審査時にすでに建築可能なことが証明されている場合です。

すでに説明済みですが、建築するにあたってのハードルをすでに乗り越えて役所から建築の承諾が得られている場合は銀行融資可能です。

ただし、そうでない場合は基本的に銀行融資は難しいと考えるのが妥当です。

本当に建築できない物件は避ける

再建築不可の物件の中でも、本当は建築できる物件とどうやっても建築不可能な物件があります。建築不可能な物件とは、具体的には先述の「それでも再建築にトライするには」に記載したいずれの方法を用いても再建築が困難であると推測される物件です。そのような物件は極力さけるべきです。

リフォームすればいいという考えは少し安易すぎます。建築しようと思えば建築できるが面倒なのでリフォームで対応することにした、というのと建築が本当に不可能だからリフォームで対応した、というのでは全く違います。

出口戦略でお話した業者買取の際にも、全く建築の可能性がない物件は相当厳しい評価をされます。個人投資家へ売却する場合も同じです。

共同住宅は建築できない

みなさんが想像する所謂「共同住宅」は原則建築できません。これも火災時の危険性などの観点からです。

ですから基本的には戸建形状のものか長屋と呼ばれる建物の建築になります。長屋とは共用廊下や階段などが建物内に収まっている建物のことです。言い換えるなら戸建のような形状で建物の中で廊下や階段があり、貸室が区別されている建物になります。

ですから建築する前には事前にどの程度のボリュームの建物が建築可能で、何部屋確保できるのかを建築メーカーと確り相談しておくことが大切です。

購入前に業者買取価格を掴んでおく

出口の最低限度の価格は事前に把握しておくべきです。まず気になる物件をみつけたら担当の不動産営業マンに業者買取価格の相場がいくらなのか事前に聞いておきましょう。

これは投資をするうえでのトータルリターンの観点からも非常に重要です。

いくらで買って、年間どの程度の収益が期待でき、最終的にいくらで売り抜けられるのか。これらはしっかり把握したうえで挑戦しましょう。

売主に測量をしてもらう

購入の条件として、売主に対して測量を完了して引き渡してもらうように相談しましょう。

再建築不可の物件に関しては、間口の寸法が非常に大事です。「命」といっても過言ではありません。間口が1m99cmであれば、将来、隣地から間口1cm分の土地を購入できれば、その土地は建築可能な普通の物件として蘇ります。こういった意味でも土地の区域確定は重要な意味を持ちます。

測量が不動産売買に必要な理由は過去に記事にしていますので、合わせてご覧下さい。

土地の売却になぜ測量が必要なのか? どうも皆さんこんにちは。 ミナンチャです。 土地や戸建を売却するとき、不動産屋から必ず「測量しましょう」と言われます。登記...

建築許可取得を条件に売買する

建物再建築を絶対の条件として考えているのであれば、売主に対して、建築許可が取得できない場合に売買契約を解除できる旨の解除条件付きの売買契約とする交渉をすることをお勧めします。

すなわち、売買契約締結から物件の引き渡しまでの間に買主が対象物件上に建物を建築する許可を行政から得ることが出来なければ、契約は白紙解除となり、支払った手付金もかえってくる取引とすることです。

個人間の売買でしたらこの条件はよく付帯される特約となりますので、過度に構える必要はありません。売主の理解が得られるかどうかという点が論点になるでしょう。

しっかり指値交渉する

再建築不可の物件の唯一の強みは価格が安いことです。そもそも個人向けに販売されるケースは少なく、殆どがプロの不動産買取業者向けに販売されます。

言い換えれば、業者価格付近まで価格交渉できることを意味します。

ただし、業者と全く同じ金額で買うことはできませんので、ある程度のところで落としどころを見つけるべきでしょう。なぜなら、先にも説明のとおり、売主にとって業者へ売却することは価格以外の条件面でメリットがあるからです。物件のあらゆる欠陥を飲み込んで買ってくれたり、決済時期も個人に比べて早いです。簡単に言うと売主にとって面倒がないわけです。

個人の買付と業者の買付が同額で並んだ場合、おそらく殆どの売主は条件面であらゆる面倒を押し付けられる業者への売却を選択するでしょう。

ですからあまり欲をかきすぎずに、まずは「購入できること」を優先に売主との妥協点を探してください。

これらのことからも指値交渉のことを考えても、前述のとおり事前に業者の買い取り価格を物件の担当営業マンから聞いておくべきでしょう。

売主から見た個人向け売却と業者向け売却のメリット・デメリットは下記記事に記載しています。また、指値交渉のポイントも過去に記事にしていますので、合わせてご覧下さい。

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まとめ

再建築不可の物件は正直なところ少しセミプロ向けの戦略になります。しかし、不動産投資などをされている方やこれから取り組もうと考えられているかたにとっては知識として持っておいて損はないと思います。

いわゆる不動産ブローカーと言われる不動産流通業界で暗躍する人たちは、こういった再建築不可ですとか事故物件ですとか素人が手を出さないような物件情報を入手して、不動産買取業者へ出口戦略とともに提案して案件成約することで高いマージンを取っていたりします。

それだけこれらの案件には秘められた「儲け」があるわけです。

その仕組みやスタートからエンドまでのストーリを描くことができれば一般個人の方にだって実現可能な手法です。あたなの不動産事業のスパイスとして知っておいてもらえると幸いです。

あくまで投資は自己責任でお願いします。

今回もここまで読んで下さりありがとうございました!

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