皆さんこんにちは。
ミナンチャ(@minanncha)です。
マンションの購入を検討されている皆さん。物件の図面を見るときになんとなく見てませんか?間取りが使いやすいとか外観がおしゃれとかも大事ですが、本当に大切なのはそこではありません。
今回の記事を読めば、マンションの販売図面について不動産屋に紹介された時にココだけは最低限押さえておきましょうとういうポイントが分かるようになります。また、そのポイントがなぜ大切なのかという理由もしっかり説明します。
不動産屋がマンションの図面を見るときにどこを大切にしているかを、不動産屋の立場から解説します。
では行ってみましょう!
この記事で分かること
この記事の信頼性
この記事はこんな人が書いています。
- 業界大手の財閥系不動産売買仲介会社で17年間に亘って仲介業務を経験
- 現在まで300組以上の売買仲介案件を成約
- 1級ファイナンシャルプランナー
- CFP認定者
- 宅地建物取引士
まずはサンプル図面を見てみましょう。創案工房さんという会社でちょうどよいサンプル図面があったのでお借りします。
①プロか個人どちらが売主か分かる
図面の①の赤枠をご覧ください。
価格の横に「税込」の表示があります。これは売主が消費税の課税業者であることを示しています。すなわちプロの不動産業者が売主の可能性が高いことを意味します。一方、何も記載がない場合は消費税非課税であり個人の売主になります。
不動産業者の可能性が高いと表現するわけは、一部、税込表示がされていても個人の売主である場合があるからです。難しい話しは端折りますが、前々年度に一定の事業の売り上げがあった場合、個人でも消費税課税業者(消費税を納税する必要がある)となります。しかし、そのケースは少ないので税込表示されている場合は不動産業者が売主と推測してほぼ間違いないです。
不動産業者が売主の場合、ビジネスライクですので長期間売れていないとか資金回収を急いでいる等の特段の事情がない限りは価格交渉の余地は少ないです。
また、不動産業者が売主である場合、成約した際には手数料を不動産仲介会社へ支払うケースが殆どです。つまり、不動産仲介会社は買主であるあたなと不動産業者の売主の両方から仲介手数料をもらうことになります。業界用語では「両手」と呼ばれる取引ですね。
このため、不動産仲介会社は物件の良し悪しとは別に手数料売り上げのために不動産業者が売主の物件を勧めてくる場合があることは覚えておきましょう。
両手取引・片手取引については過去に記事にしてますので、より詳しく知りたい方は合わせて下記記事を読んでみて下さい。
ただし、売主が不動産業者であることは一概に悪いということでなく、殆どの場合、プロの会社がリフォームを施工しているので品質が良かったり、他の現場の材料と大量発注したりできることから個人が同レベルのリフォームするより安く施工できたり等のメリットがあります。また、リフォーム工事についてのアフターサービスを付けている場合や、本当に致命的な欠陥(瑕疵)があった場合には、個人の売主であれば通常3か月の補修責任しか負わないところを、不動産業者が売主であれば2年間補修責任を負ってくれるなどのメリットもあります。
②総戸数が大事な理由
上記図面の②をご覧下さい。
マンションを検討する上で総戸数は非常に大切です。一つ目の理由は総戸数が多い場合、修繕積立金や管理費がしっかりと積み上がることでマンションの長期的で安定したメンテナンスが可能になることです。
よく考えてみてください。たとえば総戸数10戸の分譲マンションと総戸数100個の分譲マンションでは各部屋から毎月支払われる修繕積立金や管理費の総額は全然違いますよね。あまりにも総戸数が少ないマンションでは将来にわたって必要な修繕工事のための資金を蓄えることができず、老朽化が進んでいったり、修繕積立金不足から各住戸に対して一時金の支払いを求めたりといったことが起こりえます。
二つ目の理由は、総戸数が少ない場合、正当な多数決が行われない恐れがあることです。マンションにおける協議事項は総会において所有者全員の多数決によって決定されます。総戸数が著しく少ない場合、昔から住んでいる一部のグループの集団意思によってマンション全体の運営方針を一方的に決定されてしまう恐れがあります。
総戸数の目安として、最低でも30戸以上は欲しいところかと思います。
③安すぎる修繕積立金は危険
上記図の③をご覧ください。
これは②の総戸数の問題に大きく関連するのですが、総戸数に対して修繕積立金が著しく安いマンションは避けるべきです。例えば総戸数が10戸しかないのに月額の修繕積立金が5,000円とかの場合です。そんな安い金額を少ない戸数から集めても将来の修繕に必要十分なお金は貯まりません。
④分譲会社はリセールバリューに影響
分譲会社が有名なデベロッパーである場合、無名のデベロッパーが分譲している場合と比較して、将来売却するときに値下がりが少ないことが期待できます。
具体的には三井不動産のパークコートですとか、三菱地所のパークハウス、野村不動産のプラウドなどですね。ここまで一流デベロッパーは求めないものの、殆どの人が聞いていも分からない知名度のデベロッパーはできれば避けた方が良いですね。
三井、三菱、野村の他にも
- 東急不動産
- 住友不動産
- 東京建物
- 積水ハウス
- 大和ハウス
- 近鉄不動産 などなど
良いデベロッパーは沢山あります。予算的に射程圏内であればこのクラスのデベロッパーの分譲マンションを狙っていきたいところですね。
⑤自主管理は避ける
管理方式で「自主管理」となっているマンションには注意しましょう。
通常のマンションで多いのは全部委託管理といって、マンションの管理業務を管理組合から専門の管理会社へ委託して管理運営を行っています。この場合、管理費や修繕積立金に未収があった場合の回収から、将来の長期修繕計画の立案、管理費が正しく使用されているかの確認や会計処理まで全て管理会社が代行してやってくれます。
「自主管理」とは読んで字のごとくそれらの管理業務をマンションの所有者(素人)が自分たちで運営していることを意味します。
一番面倒なのは、それら管理業務の各役割をマンションの所有者で持ち回りで当番しなくてはいけないことです。まさに村社会。これは相当面倒です。
また、マンションの所有者はマンション管理の専門ではありませんので、「そのルール大丈夫?」とか「その会計ちょっと怪しくない?」みたいなことが結構あります。
特に築年数の古いマンションで見られる管理方式ですが、都内では結構よく見かけますので注意したいところです。
⑥いつから販売しているか分かる
不動産の図面に写真を掲載する際には撮影日を記載するルールとなっています。
このため、●年●月●日撮影という記載を見ると少なくともその日から販売していることが読み取れます。
不動産会社も数多くの物件を抱えているため、正直なところ写真をしょっちゅう撮影し直したりはしないものです。このため、どうみても冬場・夏場みたいな写真が掲載されており、半年以上売れてないんだな・・・みたいのが分かったりします。
販売期間が長い物件が全て悪いとはいいません。物件がよくて単純に価格が高いだけかもしれません。売主の価格見直しが行われた途端に即完売ということはよくあります。
ひとつの参考まで知っておくとよいでしょう。
⑦事故物件を見分ける
必ず図面の備考欄を確認してください。
注意頂きたいのは「告知事項あり」と記載されている物件です。これはいわゆる事故物件と言われる類の物件で、事件・事故があった物件になります。
不動産仲介会社も基本的にはこう言った物件の紹介は避けるのですが、価格がすごく安かったり、中には全く気にしないという人種のお客さんもいたりすることから、一応お客さんへ説明した上で紹介する場合が稀にあります。
気を付けなくてはいけないのは、不動産仲介会社の担当者がポンコツで見落としているパターンの場合です。基本的に事故物件は嫌がる人が殆どですから、最初っから分かっていれば内見する手間もありませんので。
一方で先に述べた安ければ良くて全く気にしないという稀な方の場合は、事故の内容をしっかり聞いておくようにしましょう。想像を超える内容だとマズイですからね(笑)。
事故物件で注意頂きたいのはリセールバリューに影響するという点です。当然ですが、事件事故があったという事実は、売主が知りえる範囲のものであれば、法律上、隠して売却することはできません。当然に買手は減りますので売却時の価格に影響します。
⑧交渉のしやすさが分かる
最後に「取引態様」です。「媒介」「専任」「一般」「売主」「代理」などの表示がありますが、不動産仲介会社が一般のお客様へ図面を紹介する際には、自社で直接取り扱っている以外の物件の場合には、元々の図面にある帯の部分を自社の帯で隠してしまいます。
なぜ隠すのか?これはお客さんが売主や売主の窓口の不動産会社に直接問い合わせしてしまってそちらから直接購入されたら困るからです。だから不要な情報は隠してしまうのです。
従って、一般のお客さんが目にすることがある取引態様は「媒介」「専任」「一般」が殆どのはずです。意味は下記のとおりです。
「媒介」…自社で直接売主から委任を受けていない物件(他社委任の物件)
「専任」…自社で直接かつ独占的に売主から委任を受けている物件
「一般」…自社で直接かつ他者競合で売主から委任を受けている物件
ポイントは「専任」と「一般」はその不動産会社が売主と直接コンタクトをとれる立場にあるという点です。価格の交渉幅を予め分かっていたり、売主の落としどころを心得ている場合があり、価格交渉がスムースに行く場合があります。
一方、「媒介」は逆で、売主には他の不動産会社が窓口となっているため、直接売主とコンタクトをとることはできませんので、条件交渉は全てその他の不動産会社が担うことになります。
以上から、売主へ条件交渉という意味では「専任」「一般」に分があるということになりますね。
参考までに指値交渉のコツについても記事にしていますので、興味があれば是非ご一読下さい。
まとめ
不動産屋がパッと図面を見た瞬間に抑えている8つのポイントでした。これらのポイントはあくまで皆さんの取引に安全性をもたらすための一助に過ぎませんが、知っているのと知らないとでは大きな差があります。
もちろん間取りやデザインといった個人的な好みも物件選びには大切なことは十分承知しています。一番大切なのはその物件をあなたが「本当に気に入る」ということです。
また、物件購入時には条件交渉の希望もあろうかと思いますので、買付の優先順位についても知っておくとよいと思いますから、記事を貼っておきます。
皆さんが良い物件と出会えることを心より応援しています。
今回もここまで読んで下さりありがとうございました。