不動産の話

不動産売却の永遠のテーマ「専任媒介か一般媒介か問題」に終止符!

皆さんこんにちは!

ミナンチャ(@minanncha)です。

不動産の売却を考えている、または現在売却活動中だけど「専任媒介」と「一般媒介」どっちが良いのか分からないとお悩みの売主さん。ネットや書籍でも発信者によって意見が様々で正直なところ掴みどころがないですよね。分かります。でも大丈夫です。その問題、今日解決してしまいましょう。

この記事を読めば誰でも不動産を売却する際の「媒介契約」の正しい選択ができるようになります。ご友人やご家族へも理論立てて説明できるようになります。

今まで300件以上の不動産売買取引の仲買を成立してきた僕がご説明していきます。

それでは行ってみましょう!

※今回の記事は主に個人の売主さんが個人の買主さんに向けて売却することを前提としています。業者向け売却や法人間の事業用不動産取引の場合は少し異なりますので予めご承知おき下さい。

結局どちらが良いのか

ミナンチャ

専任媒介です。

ただし、不動産仲介会社を見誤らなければです。

まずは専任媒介と一般媒介の仕組みを理解する必要があります。

媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」と3つの形態がありますが、「専属専任媒介」は実務的にはあまり使われませんので、話を分かりやすくするため、今回の解説では「専任媒介」と「一般媒介」の2つにスポットを当てたいと思います。

改めて違いを整理

ます、基礎的な違いは下記のとおりです。

専任媒介一般媒介
依頼できる会社数1社のみ複数可能
レインズへの登録7日以内に登録登録義務なし
販売状況報告の頻度2週間に1回以上報告義務なし
契約期間3か月以内原則なし

レインズとは不動産業者同士が物件情報を共有する専門のインターネットサイトで、個人が閲覧することはできません。売主さんから売却依頼を受けた不動産会社がレインズへ物件情報を登録すると日本全国の不動産会社がその物件情報を閲覧できるようになります。

一方、買主から物件探しの依頼を受けた不動産会社はレインズを見てその買主の希望条件に合う物件情報を探すという仕組みです。

レインズの仕組みは媒介契約を理解する上で非常に重要なポイントです。図にすると下記のようになります。

一般媒介より専任媒介が良い理由

ではなぜ一般媒介より専任媒介の方が良いのでしょうか。その理由について具体的な理由を順番にご説明していきます。

どちらも買主の絶対量は同じ

よくある勘違いが、より沢山の不動産会社へ依頼をすれば、その依頼した会社の数の倍数分の買主を探索できるという発想です。

残念ながらこれは間違いです。専任媒介にしようが一般媒介にしようが、その先に待つ買主の絶対数は同じです。

これは先に説明したレインズの仕組みを理解すると良く分かります。図解した方が分かりやすいので下記の図をご覧ください。

複数社へ委任をしても、そのすべての会社がレインズに登録するため、最終的に待ち受けている図の中の赤枠で囲った「日本中の買主」の数は変わらないのです。

ちなみに一般媒介はレインズの登録義務はありませんが、売主からの非公開希望など特別な理由がなければほぼ100%レインズに登録します。なぜなら、他社がレインズに登録する中で自分の会社だけレインズに登録しないということは、他社が日本全国の買主を対象に物件紹介できる状態なのに対し、自分の会社は自身の抱える買主にしか物件紹介できない状態になるからです。

一般媒介は「晒し物(出回り物件)」になる

一般媒介の場合、上記のレインズの説明のように複数の不動産会社がSUUMOですとかアットホーム、ヤフー不動産などのさまざまなインターネット広告へ掲載します。

そうするとどうなるか?同じ広告媒体に異なる不動産会社の会社名でいくつも重複して広告が掲載されるのです。

買主がこれを見たときに与えてしまう印象は、「あまり希少性のない情報なのかな?」「見境なく不動産会社に依頼してるから売れなくて困ってるのかな?」というものです。

これらの買主心理は、より鮮度の高い他の物件情報への目移りや値引き交渉などを誘発することになります。

人は「自分だけが見つけた物件情報だ」とか「自分だけに紹介された物件だ」と思い込んで物件情報を「貴重な情報」として誤解します。出回り物件は確実に物件の印象を損ねてしまうのです。

一般媒介は売主が商談の交通整理をしなくてはいけない

こんな場合が良くあります。あなたの物件は超人気です。一般媒介で3社へ委任して売りに出したら、直ぐに買主からの購入申込が入ってきました。最高条件の素晴らしい買主1組だけならよかったのですが、物件があまりに人気のため、A社からも、B社からも、C社からも買主の購入申込が入りました。どれも値引き交渉はなく条件は同じです。また、購入申込が来たのも殆ど同時でした。3社とも是非とも自分たちの連れてきた買主で契約してくれと息巻いています。

さて、あなた(売主)はどうやって買主を決定して、どうやって残りの2社からの話しを断りますか?

この交通整理、実は想像以上に大変です。なぜなら高確率で揉めるからです。「自分たちの条件が優位だ」とか「10分早く申込をしたのはこっちだ!」とか各社勝手なことを主張してきます。

専任媒介であればこの交通整理をプロの不動産会社が窓口となって捌いてくれますが、一般媒介の場合はあなた(売主)がやらなくてはいけません。

そのな状況あるの?って思うかもしれませんが、普通にありますよ。

一般媒介では価格変更の提案をしてくれない

不動産の成約率の一番の要因は価格です。価格設定や価格変更の戦略は極めて重要です。ここを誤ると土沼化して長期戦となりますます苦境に立たされます。

しかし、一般媒介の場合、不動産会社は「割高だから価格を見直しましょう」とわざわざ売主さんへ提案してくれません。複数の不動産会社に委任されているわけですから、どの不動産会社もそんな売主から嫌がられるような面倒な悪役を買って出ません。それに、価格変更の提案を売主さんに一生懸命して、価格を変更したとしても他社に成約されたら努力は水の泡です。一般媒介は販路の拡大ではなく、不動産会社の責任の分散に他なりません。

一般媒介で販売されている売主さんはこれらのことを踏まえて、自身で価格変更を判断する必要があるのです。

一般媒介は不動産業者のやる気を削ぐ

これは会社のイメージを損なうので企業側発信の情報では決して語られませんが、正直に言います。「一般媒介はやる気でません」

僕が怠け者だから言ってるのでなく、本音で語らせれば不動産屋はすべらく同じことを言います。つまり真実です。

不動産屋の仕事は成功報酬です。したがってどんなに労力と時間を惜しみなく費やしても、ラッキーパンチで他社が成約してしまったら全て水の泡です。もし抱えてる案件がそれひとつだけなら必死なのでしょうが、不動産の営業マンは想像以上に案件を沢山抱えており忙しいです。

取れるかどうか不透明な案件より、信頼して任せてもらえて自身の頑張りがしっかりと成果に結びつく専任媒介をどうしても優先しがちです。

以上のことから、一般媒介の場合、会社の大小は関係無く、やる気のない集合体になりがちです。

一般媒介にした途端DMや飛び込み営業がやたら来る

一般媒介を結んで不動産会社がレインズに掲載すると多くの不動産会社が売主の元へ飛び込み営業に来たり、DMが沢山届きます。謄本を見れば売主の住所は分かります。今は法務局へ行かなくてもネットで簡単に謄本がとれますので。

「超簡単」不動産の謄本の見方。とりあえずココだけ見ればOK みなさんこんにちは。 腕利き不動産屋のミナンチャです。 不動産の謄本(以下「謄本」)ってなんか抵抗ありますよね。小難しい用...

飛び込み営業やDMの主旨は、自分の会社には条件に合う買主が沢山いるので是非自分の会社とも一般媒介を締結してほしいというものです。しかし、残念ながらこれらの不動産会社に販売する能力も気力もありません。彼らの本心は「ただ委任を受けたい」だけです。なぜなのか。それは販売のやる気は無いがラッキーパンチで成約できれば儲けものという発想があるからです。たとえば3社競合での一般媒介で3社ともレインズに掲載したとすれば、客付け業者がたまたま自分の会社を通して買主を客付けしてくれる確率は3分の1あるわけです。

これらをいちいち相手にしたり、DMをゴミ箱へ捨てる手間も面倒です。

それでも一般媒介が良い場合

それでも一般媒介が良い場合もあります。下記のような場合ですね。

非公開で売却する場合

先に説明したとおり、専任媒介を締結した不動産会社には物件をレインズに掲載して業者間で公開する義務があります。なんらかの売主の事情で回りに知られずに売却したいという場合には一般媒介を締結する方法が現実的です。一般媒介ではレインズ掲載(業者間の情報公開)は任意であるためです。

個人でなく不動産業者に向けて販売する場合などが該当します。実務では一般媒介すら結ばずに売主からの口頭同意に基いて販売活動する場合も多々あります。

友人・親族に不動産屋がいて断れない場合

友人・知人・親戚などに不動産屋がいて、売るときには世話するから声をかけてくれと前々から言われているような場合です。一般市場に流通して成約を目指すような通常の売り方をする場合には、広告やレインズへ掲載するため、これらの特定の不動産屋に内緒で売却することはできないでしょう。無視して販売すると角が立つということですね。

長年の付き合いであったり、貸し借りや恩があったりする場合には止むを得ない場合もあるでしょう。

それでも専任媒介に納得できない場合

これだけ中身を説明してもやっぱり専任媒介は嫌だという売主もいます。それはそれで構わないのですが、注意点として一般媒介にする場合でも依頼する不動産会社は2~3に絞ることをお勧めします。

理由はすでに述べているとおりですが、販売する不動産会社のモチベーションが違ってきますし、晒しもの(出回り物件)に極力しないためです。

不動産会社の選定が専任媒介の肝

専任媒介を依頼するときに決して見誤ってはならないのが不動産会社の選定です。販売力という意味でも基本的には大手不動産会社をお勧めしますが、担当の営業マンを含めて下記の点に注意して選ぶと良いでしょう。

不動産会社(担当営業マン)選定のポイント

  • 根拠を示して説明をしてくれる
  • 報告をマメにしてくれる
  • 活動内容を形で示してくれる
  • 悪い結果も確り伝えてくれる
  • 価格変更の提案も確りしてくれる
  • フィーリングが合う
  • 誠意が感じられる

なお、不動産会社は信用面でも情報量でも大手のブランドが強いのが事実です。不動産会社を決めかねているのであれば、ひとまずは大手不動産会社とする判断も間違いではありません。現在のところ業界最大手は三井のリハウスです。

【三井のリハウス】

結局は「物件力」次第

最後に不動産売却において知っておいて欲しい重要なポイントがあります。それは、

物件が売れるか売れないかは「物件力」次第ということです。

物理的な要因のみでなく、価格を含めた総合的な物件の良し悪しが売却の決め手になります。販売する不動産会社の力も重要ですが、不動産流通は売り手と買い手の市場原理の上に成り立ちます。

ここまで専任媒介と一般媒介のメリット・デメリットを説明しておいて結局はそんな結論か?と思われるかもしれませんが「売る」ということに主眼を置けば紛れもない事実なのです。

魅力的な物件であれば専任であろうが一般であろうが売れます。逆もまた然りです。

この基準を見失うと「市場が悪い」「不動産会社が悪い」「買主が悪い」と他責に帰結します。

売りに出すことが目的でなく「売れる」ことが目的です。

査定の相談を含めてしっかりとした値付けと販売方法を不動産会社と相談してから売却をスタートしましょう。

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まとめ

 僕は不動産会社を間違えなければ専任媒介を推奨します。特定の事情がある場合を除き専任媒介で売却する方が有効であり、売主にも不動産会社にもWINWINの関係が成り立ちます。

また、媒介契約を締結した後の不動産屋の売却活動についてお知りになりたい場合は過去に記事にしていますので合わせてご一読いただくと不動産売却の全体像が掴みやすくなると思います。

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今回もここまで読んでくださりありがとうございました!

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