不動産の話

知らないと失敗する不動産投資のコストと本当の利回り

みなさんこんにちは。

ミナンチャ(@minanncha)です。

不動産投資は儲かるらしい、あの人は不動産投資で成功してリタイヤしたらしい、こんな噂をよく耳にしますね。だから自分もトライしてみたいと思うのは自然な発想です。

興味があるなら是非挑戦してみれば良い思いますが、その前に知っておいて欲しい不動産投資のコストと利回りの話があります。

今回の記事では不動産業界で長年にわたり実務を経験してきた僕が分かりやすく解説したいと思います。

はっきり言いますが、これを押さえておかないと不動産投資は失敗します。

不動産投資で失敗しないためには入口でしっかりとコスト意識を持って始めることが重要です。

この記事がこれから不動産投資を始める人の転ばぬ先の杖になるはずです。

では行ってみましょう!

この記事の信頼性

この記事はこんな人が書いています。

  • 業界大手の財閥系不動産仲介会社で17年間に亘って仲介業務を経験
  • 現在まで300組以上の売買仲介案件を成約
  • 宅地建物取引士
  • 1級ファイナンシャルプランナー
  • CFP認定者

※この記事執筆時点

物件を買うときのコスト

細かい項目を並べても忘れてしまうので、あえて大雑把に言います。

現金で買う場合は、物件価格の5~6%

借入して買う場合は、物件価格の7~8%(借入額により増減)

このように覚えておけばOKです。

具体的には下記の費用が発生します。

  • 仲介手数料(物件価格の約3%)
  • 登記費用
  • 収入印紙
  • 不動産取得税
  • 融資に掛かる費用(借入する場合)

保有にかかるコスト

これも結論から言いますと賃料の概ね20%程度かかってきます。

具体的には下記の費用が発生します。

  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 管理委託費用(賃料の約5%)
  • 清掃費用
  • 入居募集費用
  • 建物全体の修繕費用
  • 退去時の室内修繕費用

また、上記以外に忘れてはいけないのが空室リスクです。

どんな入居率の良い物件でも、旧入居者と新入居者との入れ替わりの期間は賃料が発生しませんし、場合によっては募集しても次の入居者がなかなか決まらず数か月にわたって空室となることもあります。

空室リスクとは言い換えれば、本来であれば得られたであろう賃料の機会損失です。

これは立派な費用と言えるでしょう。

本当の利回りのシミュレーション

簡単な例をもって本当の利回りについてシミュレーションしてみます。なお、ここで言う本当の利回りは投資した自己資金(分母)に対する年間賃料収入(分子)で考えます。

※あくまで架空の条件を前提にした想定のため、借入条件や購入する物件の利回りによって異なります。

(例1:借入なし)

  • 予算:5,000万(自己資金)
  • 物件図面に記載の表面利回り:5%
  • 購入経費率:物件価格の6%
  • 保有コスト:賃料の20%
  • 空室による未収賃料(空室リスク):賃料の10%
  • 融資利用:なし

(試算)

購入可能な物件価格…5,000万円×94%(100%-6%《経費率》)=4,700万円(①)

賃料収入…①×5%(利回り)=235万円(②)

保有コスト…②×20%(保有コスト率)=47万円(③)

空室による未収賃料…②×10%≒23万(④)

実質年間収益…②-③-④=165万円(⑤)

本当の利回り:⑤÷5,000万円≒3.3%

(例2:借入あり)

  • 予算:5,000万(自己資金2,500万+借入2,500)
  • 物件図面に記載の表面利回り:5%
  • 購入経費率:物件価格の8%
  • 保有コスト:賃料の20%+返済額
  • 空室による未収賃料(空室リスク):賃料の10%
  • 融資利用:あり(2,500万円、金利1.5%、25年返済)
  • 返済額(年):約120万円

(試算)

購入可能な物件価格…5,000万円×92%(100%-8%《経費率》)=4,600万円(①)

賃料収入…①×5%(利回り)=230万円(②)

保有コスト…②×20%(保有コスト率)+120万円(年間返済額)=166万円(③)

空室による未収賃料…②×10%=23万(④)

実質年間収益…②-③-④=41万円(⑤)

本当の利回り:⑤÷2,500万円(自己資金)≒1.6%

(例3:借入あり)

  • 予算:1億円(自己資金5,000万+借入5,000)
  • 物件図面に記載の表面利回り:5%
  • 購入経費率:物件価格の8%
  • 保有コスト:賃料の20%+返済額
  • 空室による未収賃料(空室リスク):賃料の10%
  • 融資利用:あり(5,000万円、金利1.5%、25年返済)
  • 返済額(年):約240万円

(試算)

購入可能な物件価格…1億円×92%(100%-8%《経費率》)=9,200万円(①)

賃料収入…①×5%(利回り)=460万円(②)

保有コスト…②×20%(保有コスト率)+240万円(年間返済額)=332万円(③)

空室による未収賃料…②×10%=46万(④)

実質年間収益…②-③-④=82万円(⑤)

本当の利回り:⑤÷5,000万円(自己資金)≒1.6%

結果として、表面利回り5%の物件を全て自己資金を使って購入した場合、購入後の本当の利回りは3.3%程になってしまいます。

物件価格の半額を銀行融資で工面した場合に至っては、1.6%まで下落します。

本当の利回りを5%にするには表面利回り何%必要か

先の利回りのシミュレーションでは、

全て自己資金の場合、

表面利回り5%→本当の利回り3.3%なので下落率は34%。

物件価格の半分を銀行融資で工面した場合、

表面利回り5%→本当の利回り1.6%なので下落率は68%でした。

従って本当の利回りを5%にするのに必要な表面利回りは、

全て自己資金の場合、

5%÷66%(100%-34%)≒7.5%

物件価格の半分を銀行融資で工面した場合、

5%÷32%(100%-68%)≒15.6%

このくらいは必要ということになります。

これが意味するところは、昨今の不動産市況においては、都心の一等地であったり、新築や築浅などの好条件の収益物件では到底追いつけない表面利回りが必要ということです。

従って、必要な利回りを求めて必然的に郊外や地方であったり、築年数の古い物件、傷物の物件へと範囲を広げていかざる得ないわけですが、そうした物件の場合、金融機関からの融資を非常に受けずらいというジレンマに陥ります。

借入れが不動産投資の肝

利回りを追求するにはなかなか厳しい不動産投資ですが、他の投資と比較して非常に優れている点は金融機関の融資を利用してレバレッジの効いた投資ができることです。

先のシミュレーションでもわかるように、借入れを利用して、小さな自己資金で大きな収益不動産を複数所有することで、利回りは小さくとも、膨れ上がったキャッシュフローを手にすることができます。

たとえ実質的な利回りが1.6%であったとしても、5億円分の収益物件を保有していれば、5億×1.6%で年間800万円のキャッシュフローを生み出すことができるということです。

得られるキャッシュフローと銀行融資を利用しながら、少しづず物件数を増やしていくのが王道になります。また、借入金利をどれだけ安く借りられるのかというのもキャッシュフローの効率を決める重要なポイントになります。

まとめ

不動産投資にかかるコストとそれらを考慮した実質的な利回りについて解説しました。記事の主旨は不動産投資を否定するものではなく、せっかく挑戦するのであれば、戦略的に取り組んでもらいたく実態について説明したものです。

株も不動産も利回りだけに注目しても投資対象の本来の価値は見抜けません。

得られるキャッシュフローとかかるコストを常に意識し、負けない投資をすることが大切です。

ことさら不動産投資は、投資よりも事業の側面が強いため、負荷が大きい反面、交渉力や物件の目利きを養い、修繕方法の工夫で付加価値を与えることで大きく収益を伸ばすことができる面白い資産クラスです。

本気で不動産投資を成長させていくのであれば、金融機関との付き合いを続け、借入を上手く利用して物件数の拡大を目指すことが正攻法になります。

今回もここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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